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コーポレート・ガバナンスとは何か

2007年3月5日 弁護士 中島 成

頻繁に使われるようになったコーポレート・ガバナンスという言葉。しかし、それゆえに何を意味するのか分からないまま、なんとなく使われている場合が多い。実際、企業経営者も法律に携わる人々も、その言葉の意味をくっきりと説明することは容易ではないだろう。現代企業のキーワードであるコーポレート・ガバナンスという言葉、その意味を押さえておきたい。

ガバナンス(governance)という言葉の文字どおりの意味は「統治、管理、支配」(新英和・和英中辞典 研究社)であり、それ自体は汎用的な言葉である。他方、「企業統治のあり方」を特に意味するときには「コーポレート・ガバナンス」(corporate governance=法人の統治)という言葉が使われる(岸田雅雄 早稲田大学商学学術院教授 「ゼミナール会社法入門」第6版 日本経済新聞社・以下「岸田」 37頁参照)。
これまで米国、イギリス、ドイツ等で各国の事情を反映してそれぞれ特徴あるコーポレート・ガバナンス論が議論されてきており(江頭憲治郎 東京大学大学院法学政治学研究科教授 「株式会社法」有斐閣・以下「江頭」 47頁)、
日本でも、1990年代以後の不況の中でコーポレート・ガバナンス論が活発化し、「効率的な経営の確保および経営上の違法行為の抑止(コンプライアンスの確保)のための法改正・制度運用の改善が、さかんに議論されるに至った」(江頭 46頁)。

ところで、米国におけるコーポレート・ガバナンス論の特色が市場による統治であったのに対し、「わが国のコーポレート・ガバナンスは、もっぱら企業不祥事防止の観点から、監査制度の強化やメインバンクによる会社の監視の問題として論じられてきた」(岸田38頁)という特色がある。
岸田は、「(資本主義社会の)担い手である企業は、社会のルールを守り、公正公平な企業活動を行わなければならない。この企業統治のあり方を示すのがコーポレート・ガバナンスである」と述べている(岸田 36頁)。
このコーポレート・ガバナンスをめぐる近時の特徴として、「コーポレート・ガバナンス(企業統治)とは、どのような形で企業経営を監視する仕組みを設けるかという問題であるが、不正行使の防止(健全性)の観点だけでなく、近時は企業の収益性・競争力の向上(効率性)の観点からも、コーポレート・ガバナンスのあり方について世界的な規模でさまざまな議論がされている」(神田秀樹 東京大学大学院法学政治学研究科教授 「会社法」第8版 有斐閣・以下「神田」 147頁)ことが指摘されている。

要するに、コーポレート・ガバナンスとは、企業の不正行為を防止して社会の信頼を得ること(コンプライアンス)と企業の効率的な運営確保とを両立するための企業統治のあり方についての議論であり、特に日本においては、どうすれば繰り返される大企業の不祥事の再発を防止できるかという点を中心に議論されてきたという特色を有するものである。

※岸田 39頁は、企業不祥事の観点から論じられてきたわが国のコーポレート・ガバナンス議論だが、最近の明治安田生命やカネボウ等の不祥事を見ても日本型コーポレート・ガバナンスが機能していないことは事実としたうえ、「すでに1930(昭和5)年に経済評論家の高橋亀吉氏は、日本経済の危機の基本的な原因を会社経営者の腐敗堕落に求め、「大株主のその場主義的我利の横暴と重役の腐敗にある」(株式会社亡国論)としたが、まさに歴史は繰り返されている」と指摘する。

以上

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