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会社法に関する法務省令

会社法施行規則、会社計算規則、電子広告規則
平成18年5月1日、ついに会社法が施行されました。会社法は約300もの事項を法務省令に委任していたため,その制定が待たれていました。それが、平成18年2月7日に「会社法施行規則」「会社計算規則」「電子公告規則」として公布され、会社法と同時に施行されました。
以下ではこれらの規則についてその概要を説明します。

1 会社法施行規則

この省令は, 全238条で構成されており,〔1〕会社法の規定により委任された事項について必要な事項を定めるとともに,〔2〕会社法の規定により法務省令に委任された事項のうち他の省令で定める事項についてその旨を明らかにするものです。

主な項目
ア.親会社・子会社の定義(法2条2,3号関係)
親会社及び子会社の定義として,従来の持ち株数を基準とする形式基準に代えて,「財務及び事業の方針の決定を支配している場合」という実質基準を用いることとしています。また,親会社及び子会社には,会社以外の法人,法人格を有しない組合等も含まれることとしています(規則3,4条)。
これは,現行の財務諸表等規則8条4項の内容とほぼ同一の内容で,証券取引法と会社法で親子会社の定義は平仄を合わせたことになります。
イ.株主総会の招集(法298条関係)
〔1〕株主総会の開催日を前年の開催日と著しくかけ離れた日とした場合,〔2〕公開会社が集中日に株主総会を開催する場合には,理由を定めなければならないとされています(規則63条1号)
ウ.取締役等の説明義務について(法314条関係)
取締役等が株主総会において説明義務を負わない場合として,
  • 〔1〕株主が説明を求めた事項について説明をするために調査をすることが必要である場合(会社が総会の日の相当の期間前に通知を受けていた場合や説明のための調査が著しく容易な場合を除く),
  • 〔2〕説明により会社その他の者の権利を侵害することとなる場合,
  • 〔3〕実質的に同一の事項について繰り返し説明を求める場合
  • 〔4〕その他説明しないことに正当な理由がある場合
を規定しています(規則71条)。
エ.総会議事録の署名
商法では株主総会議事録の議長及び出席取締役の署名または記名押印が必要でしたが,会社法施行規則では,総会に出席した役員及び議長の氏名を記載すれば足り(規則72条3項4号・5号)署名または記名押印までは不要になりました。
オ.社外取締役等の選任関連
公開会社が社外取締役等を選任する場合の選任議案の参考書類に,当該候補者が当該会社の特定関係事業者である会社等の業務執行者や当該会社の業務執行者の配偶者,三親等以内の親族等であることを株式会社が知っているときにはその旨を記載する必要があります(規則74条4項6号)。
また,会社が社外取締役を選任した場合であって,当該社外取締役が他の会社の業務執行役員等であるときは,その事実及び当該会社と他の会社との関係を,当該社外取締役が社外が他の会社の社外役員を兼任している場合はその事実を事業報告の記載事項としています(規則124条)。
カ.取締役の報酬に関する議案
取締役の報酬に関する議案を株主総会に提出する際には,株主総会の参考書類に報酬の算定基準を記載する必要があります(規則82条1項)
また公開会社で社外取締役がいる場合には,社外取締役の報酬算定基準は他の取締役と区別して記載します(同3項)
キ.内部統制システム(法348条3項4号,362条4項6号,416条1項1号ホ)
会社法は,業務の適性を確保する体制,すなわち内部統制システムの具体的内容を法務省令に委任していました。会社法規則によれば株式会社の業務の適正を確保する体制とは,
  • 〔1〕取締役(執行役)の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制,
  • 〔2〕損失の危険の管理に関する規程その他の体制,
  • 〔3〕取締役(執行役)の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制,
  • 〔4〕使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制,D当該株式会社並びにその親会社及び子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制等
であるとを規定しています(規則98条,100条,112条2項)。
  また,内部統制システムに関する事項を取締役会で決定したときは,その概要を事業報告の内容としなければならないとされています(規則118条2項)
 
ク.買収防衛策の事業報告への記載
会社の財務及び事業の方針の決定を支配する者のあり方に関する基本指針を定めている場合には,以下の内容を事業報告の記載事項としています(規則127条)。
  • 〔1〕基本方針の内容,
  • 〔2〕方針に照らして不適切な者が支配権を獲得することを防止するための取組み(いわゆる買収防衛策)の具体的内容,
  • 〔3〕防衛策の合理性に対する経営陣の評価と意見等
ケ.株主代表訴訟を行う際の提訴請求の方法等(法847条関係)
株主代表訴訟をする場合には,会社に対して,会社が取締役等の責任追及等の訴えを提起するよう請求することが必要になります(法847条1項)。その際に株主はは,〔1〕被告となるべき者,〔2〕請求の趣旨及び請求を特定するのに必要な事実を明らかにしなければならないことされました(217条)。
また,提訴請求を行った株主に対して交付する不提訴理由書においては,〔1〕会社が行った調査の内容,〔2〕請求対象者の責任等の有無についての判断,〔3〕請求対象者に責任等があると判断した場合にもかかわらず提訴しなかったときはその理由を明らかにしなければならないこととしています(218条)。
コ.ホームページ等による開示
株主総会参考書類における記載事項の一部(94条),事業報告における記載事項の一部(133条3項)ホームページ等で開示することにより,書面による提供の省略することが可能になりました。

2 会社計算規則

この省令は,会社の計算に関する事項,具体的には以下の事項を定めています。

     
  • ・会計帳簿の記帳に関する事項(2編)
  •  
  • ・計算書類等の種類,計算書類等の表示 に関する事項(3編)
  •  
  • ・ 計算関係書類の監査の手続に関する事項(4編)
  •  
  • ・計算書類等の株主への提供 に関する事項(5編)
  •  
  • ・計算書類の公告等に関する事項(6編)
  •  
  • ・剰余金の計算,分配可能額の計算 (7編)
  •  
  • ・持分会社の計算に関する事項(8編)
重要な項目とその内容
ア.計算書類の種類 (91条1項)
以下の4種類です。
  • 〔1〕貸借対照表
  • 〔2〕損益計算書
  • 〔3〕株主資本等変動計算書
  • 〔4〕個別注記表
商法下で計算書類とされていた利益処分案・損失処理案は計算書類ではなくなりました。また営業報告書も事業報告書と呼び名が変わり、計算書類ではなくなりました。
イ.資本金の額が0円の会社の設立について明確化
会社設立時の資本の額は,設立に際して株主となる者がその会社に払込み又は給付をした財産の額ですが(法445条1項),会社計算規則ではこの財産の額について所定の計算方法により零未満となる場合は零と定めています。(計規74条1項)。つまり,資本金0円の会社の設立も可能になりました。
ウ.計算書類等の監査期間
監査報告の通知期限として,計算書類を受領した日から「○週間を経過した日」等と規定することにより,現行法と同様の監査期間を各監査機関に確保しながら,監査役等による監査が早期に終了した場合には,定時株主総会を早期に開催することを可能にしています(計規152条1項,158条1項,160条1項等)。
さらに、監査役等と取締役の合意による監査期間の短縮も認めています。
エ.会計監査人設置会社における会計監査人の職務の遂行
会計監査人は,監査役等に対する会計監査報告の内容の通知に際して,会計監査人の職務の遂行に関する事項を通知しなければなりません(計規159条)。
また,監査役は,会計監査人の職務の遂行が適正に実施されることを確保するための体制に関する事項を内容とした監査報告を作成しなければなりません(計規155条)。
オ.剰余金の分配可能額
分配可能額の算定にあたっては,〔1〕貸借対照表に計上された正ののれんの額を調整した金額及び繰延資産(のれん等調整額)をも控除対象としました(計規186条1号)
カ.ホームページ等による開示
株主総会の招集通知に際して株主に提供しなければならない情報につき、
定款に定めることによって、注記表及び連結計算書類の全部につき, ホームページ等で開示することにで書面による提供の省略を可能とすることとしています(計規161条4項,162条4項)。 事業報告中の一定事項についても、定款に定めること等で同様に書面による提供を省略できます。

3 電子公告規則

この省令は,電子公告調査(会社法942条1項)に関して

  • 〔1〕電子公告調査を求める方法
  • 〔2〕電子公告調査を行う方法
  • 〔3〕調査結果通知の方法
  • 〔4〕調査記録簿の記載

を定めています。

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