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改正会社法(平成26年6月20日成立)の主な内容および企業経営に与える影響

5、多重代表訴訟

多重代表訴訟
〜親会社の株主が子会社の役員に株主代表訴訟を起こせるようになる〜

これまで株主代表訴訟は、ある会社の株主が当該会社の取締役等に対して提起するものであって、親会社といえども法人格が異なる以上、親会社の株主が、子会社の取締役等に対して提起することはできませんでした。
これまで子会社の取締役等の行為によって親会社が損害を受ける場合は、親会社の株主としては、親会社の取締役等が子会社の取締役等の行為に積極的に関与しているとか、損害を受けることを知りながら子会社の取締役の行為を放置していることなどを理由に、親会社の取締役等の責任を追及することが可能でした。しかしこの方法は立証の難易度が通常の株主代表訴訟にまして高いものでした。また親会社が子会社の株式100%を所有する場合は、親会社の取締役が子会社取締役の責任を追及しなければ、子会社取締役の責任を追及する手段がありません。子会社に親会社以外の株主がいないからです。

そこで今回の改正では、6か月前から引き続き、100%親会社(子会社の株式100%を所有している会社)の100分の1以上の議決権を有する株主等は、子会社の取締役等の責任を追及する株主代表訴訟を提起できるようになりました(改正会社法847条の3)。これを多重代表訴訟と呼んでいます。
ただし、その子会社が親会社にとって一定の重要性を持つ会社でなければ親会社の株主にそのような責任を追及させる意味があまりないので、100%親会社の帳簿上、その子会社株式の評価が資産の5分の1を超える場合のみ、この株主代表訴訟は提起できるとされています。

多重代表訴訟は、100%子会社等の役員の責任を親会社の株主が追求するものです。このような子会社の役員は、実質的には取締役というよりも親会社の業務部長にすぎないとも言えます。従業員に過ぎない者に株主代表訴訟が提起される状況が生まれ得るわけです。
多重代表訴訟は、親会社株主の保護として適切な面がある一方で、上記のような面も併せ持つ制度です。
そこで子会社役員となる者が萎縮しない配慮も必要で、100%子会社にあえてせず、一定数の少数株主を存在させておくという工夫も検討されるものと思われます。

(平成26年11月6日)

≪ 社外取締役・社外監査役の要件厳格化、社外取締役設置推進措置

子会社の株式譲渡と親会社の株主総会特別決議 ≫

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