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改正会社法(平成26年6月20日成立)の主な内容および企業経営に与える影響

7、差止請求ができる組織再編の範囲の拡大

平成26年会社法改正により、会社が合併、分割等の組織再編を行うに当たり、当該合併等が法令又は定款に違反する場合、その会社の株主が不利益を受けるおそれがあるときは、合併等の事前差し止めを請求できるようになりました(会社法784条の2、796条の2、805条の2)。

平成26年改正まで、会社が合併、分割等の組織再編を行うに当たり、その合併等が法令又は定款に違反していても、事前にその合併等をやめるよう請求することは、原則としてできませんでした。例外的に、一方の企業が他方の企業の総議決権の90%以上を保有する場合に行われる略式組織再編の場合には株主による事前差止請求が認められていたものの、それ以外の場合には事前差止請求が定められていなかったのです。合併等に反対する株主は、株式買取請求権の行使や、組織再編の効力が生じた後になって組織再編無効の訴え(828条1項7号等)を起こすこととされていました。
しかし、反対株主が株式買取請求権を行使できても、合併等自体を止められるわけではありません。また、一度組織再編の効力が生じた後に、事後的にその組織再編無効の訴えを起こせるとしても、組織再編の効力を事後的に否定することは法律関係を錯綜させるおそれがあります。
そこで、平成26年会社法改正により、略式組織再編以外の組織再編についても差止請求制度が創設されました。
ただし、存続会社の株主に与える影響が軽微なため同社の株主総会の承認決議が不要とされる、簡易組織再編では、その合併等により株主に与える影響は小さいため、従来通り、差止請求の規定は新設されませんでした。

事業譲渡は、組織再編ではなく通常の売買なので、差止請求制度は創設されませんでした。この場合は、会社に著しい損害が生じるおそれがあるときに認められる取締役の行為の差止請求(会社法360条)で対応することになります。
合併等の組織再編が一旦差し止められれば、その影響は甚大です。組織再編の際には十分な注意が必要です。

(平成27年5月26日)

≪ 子会社の株式譲渡と親会社の株主総会特別決議

債権者を害する会社分割における債権者保護 ≫

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