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民法改正(債権法改正)の重要ポイント

第2 改正の重要ポイント

9 危険の移転・負担
(1)引き渡し時に危険が移転
(要綱仮案 第30、10)(改正民法567条)
【ポイント】
ア 売主が買主に売買の目的物として特定されたもの(以下「特定物」)を引き渡した時以後に、その目的物が売主の責めに帰することなく滅失、損傷したときは、買主は、履行の追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、契約解除をできない。
イ 売主が特定物の引き渡しを提供したのに買主が受領しない場合で、提供以後に売主の責めに帰することなく目的物が滅失、損傷したときも、買主は、履行の追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、契約解除をできない。
【改正の理由】
現行法の解釈では、売買の目的が特定物の場合、いつから危険が移転するか=引き渡しからか、移転登記からか、所有権が移転したときか、がはっきりしていなかった。 しかし、不動産売買を含め、実務では引き渡しのときに原則として危険が移転するという考えが定着している。そこで「引き渡し」の時をもって危険が移転することを明定した。
なお、目的物(特定物)が滅失等しても買主は代金全額を払わなければならないとする現行法(534条)は削除される。
【影響等】
目的物が買主に引き渡されれば履行があったとして、その後滅失等があっても買主は代金を払わなければならないという扱いは常識的である。
引き渡し時以外に危険を移転させようとするときは、当事者は契約で定めなければならない。
(2)債務者に帰責性なく履行不能になった場合の処理(要綱仮案 第13)(改正民法536条)
ア 当事者双方の責めに帰することなく債務を履行できなくなったときは、債権者は反対給付の履行を拒める。
イ 債権者の責めによって債務を履行できなくなったときは、債権者は反対給付の履行を拒めない。この場合、債務者は、自己の債務を免れたことで得た利益を債権者に償還しなければならない。
【影響等】
債務が、履行前に、債務者の責めによって履行不能となれば債務不履行の問題である。他方、債務者の責めに帰することなく履行不能となった場合、債権者が反対給付をしなければならないか、例えば、売買で目的物が引き渡し前に滅失したときに買主が代金を払わなければならないか(以下「上記例」)の問題があり、これについて整理した。





ア 債権者債務者双方の責めに帰することなく滅失等したときは、債権者は債務者からの請求を拒める。上記例では、買主は売主からの代金請求を拒める。
イ しかし、その滅失が買主の責めによるものであるときは、売主は代金を請求できる。この場合、目的物を引き渡さなくてよくなったことで売主が利益を得ればそれは買主に渡さなければならない。
※改正法は、当事者双方の責めに帰することなく履行不能となった場合も、契約解除できるとした(要綱仮案 第12、4)(改正民法543条)。換言すれば、この場合も解除されなければ契約関係は残る。そのため、上記(2)ア、イ、は、「反対給付の履行を拒める」等の表現にしている。
この点、現行法では、当事者双方の責めに帰することなく履行不能となった場合、債務者は「反対給付を受ける権利を有しない」(536条)という表現で、債務者が  反対給付を受ける権利、上記例で言えば売主が代金の支払いを受ける権利も当然に消滅すると解されていた。

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