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民法改正(債権法改正)の重要ポイント

第2 改正の重要ポイント

7 契約解除
(1)軽微な債務不履行の場合は解除できない
(要綱仮案 第12、1)(改正民法541条)
【ポイント】
契約は、相当期間を定めた催告をしても履行がなければ契約を解除できるのが原則。しかし、催告期間を経過した時点で存在する債務不履行の程度が契約及び社会通念上軽微なときは、解除できない。
【改正の理由】
現行法の下でも、不履行が数量的にごく僅かであったり、付随的義務に違反したのみのときは、原則として解除できないと解すのが一般である。この点を明文化した。
【影響等】
これまで一般的には、催告しても履行されなければ解除できるというのが通常の理解であったと思われる。解消されない債務不履行が軽微か否かはあまり関心がなかった。今回の明文化で、債務者が解除を争うケースが増えると考えられる。 付随的義務と言っても、従前の判例でも解除原因となるか否かの判断が違っている。例えば、不動産売買で固定資産税等の公租公課支払義務の不履行があったとき、解除を認めたもの(最高裁昭和47年11月28日判決:代金分割払い中、その間の公租公課は買主負担との約定有り)もあれば、認めなかったもの(最高裁昭和36年11月21日判決:代金一括払い済み、公租公課負担者の約定はないが買主負担と認定)もある。事案に応じた評価が必要となる。
(2)無催告解除ができる場合の明定
(要綱仮案 第12、2)(改正民法542条)
【ポイント】
次の場合は、無催告解除できる。
ア 債務の履行が不能のとき
イ 履行拒絶の意思が明確に表示されたとき
ウ 債務の一部についての履行不能又は履行拒絶意思の明確な表示がされた場合で、残存部分では契約目的を達成できないとき
エ 一定期間内等に履行しなければ契約目的を達成できないのに、履行されずにその期間等を経過したとき
オ 債務の履行がされず、催告しても契約目的を達成するに足りる履行がされる見込みがないことが明らかなとき
【改正の理由】
催告しても意味のないような場合は無催告解除できるとし、そのような場合について、これまでの判例や解釈で認められていたものを整理して明定した。
【影響等】
無催告解除事由となる履行拒絶明確表示は、履行不能と同様に扱ってよい程度の状況が必要であり、交渉過程で履行拒絶する趣旨の言葉を発しただけでは足りない。
この点を含め、上記ウ、残存部分では契約目的を達成できない、上記オ、催告しても契約目的を達成するに足りる履行がされる見込みがない等は、評価に関することなので争われ得る。
(3)契約解除に債務者の帰責事由は不要
(要綱仮案 第12、2)(改正民法542条、543条)
【ポイント】
改正法は、現行法543条にあった債務者の故意過失を解除の要件とする条文を削除した。
【改正の理由・影響等】
これまで契約解除には債務不履行について債務者の故意過失が必要と解されていた。しかし、例えば、自然災害で一定期日までに必要な商品を納める契約が履行できなくなったとき、債務者(売主)に帰責事由がないから解除できないとすれば、債権者(買主)は代替商品を探して購入したうえ、もともとの売主が後になって商品を納めたときその代金も払わねばならない。債務者に故意過失がないから損害賠償もできない。これは不合理で、契約解除は債権者を契約の拘束力から開放するものにすぎないから、債務者の帰責事由は関係がないという考えが有力だった。改正法は、この考えに従った。
※逆に債権者の責めに帰すべき事由によって債務不履行が生じた場合は、債権者は解除できない(要綱仮案 第12、4)。例えば、雇用主が工場を封鎖したため、従業員が工場に入れず作業できなくなった場合、雇用主は労働契約を解除できない。

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