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民泊の法的現状(2016年6月13日現在)

1、民泊は違法か適法か 〜現行法下での民泊事業と規制法律〜

現在議論されている「民泊」とは、
・「住宅を活用した宿泊の提供」(厚労省 「民泊サービス」のあり方に関する検討会)
・「住宅(戸建て住宅及び共同住宅)を活用した宿泊サービスの提供」(内閣府 規制改革実施計画)

【民泊は違法か適法か】

(1)旅館業法との関係

旅館業法における旅館業とは、「宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業」(旅館業法2条)
※「有料性」と「宿泊」の2つがキーワード。
 「営業」とは反復継続の意思で行うこと。

<マンションやアパート等不動産賃貸借と旅館業との差=「賃貸借契約」と「宿泊契約」の差>
(i)衛生の維持管理責任
旅館業では、施設の衛生の維持管理責任を旅館業者が負う。
※ 旅館業法4条「営業者は、営業の施設について、換気、採光、照明、防湿及び清潔その他宿泊者の衛生に必要な措置を講じなければならない。」
(A)生活の本拠
宿泊契約は生活の本拠を与えるものではない
旅館業法2条6号「この法律で「宿泊」とは、寝具を使用して前各項の施設を利用することをいう。」

宿泊契約は、生活の本拠を与える継続的契約ではないので、賃借人の個性に応じて契約締結や契約内容を個別に判断する不動産賃貸借契約と異なり、不特定多数を相手方とすることが予定された定型的な標準約款を利用して定められることが多い(宿泊約款)。

旅館業においては、原則として客の個性で契約締結の判断をすることがないので、旅館業者は、施設に余裕がない場合などを除いて、原則として宿泊の申し込みを拒んではならない義務がある(旅館業法5条)。
(B)賃貸借契約と異なり、宿泊契約は、衛生、安全などに関わる「宿泊サービス」がセットになった契約であり、賃貸借契約とは異なる契約類型。
旅館業法3条の4「営業者は、……営業の施設及び宿泊に関するサービスについて安全及び衛生の水準の維持及び向上に努めるとともに、……営業の施設の整備及び宿泊に関するサービスの向上に努めなければならない。」
※ 旅館業では、宿泊サービスの良し悪しが競争力に大きな影響を与える。
<許可の必要>

・旅館業は、都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区では、市長又は区長)の許可を受けなければ営業できない(旅館業法3条)。
許可条件には、設置場所要件として、施設の設置場所が公衆衛生上不適当でない。学校等の近くにある場合においてそれらの清純な施設環境が著しく害されるおそれがない(旅館業法3条)や、構造設備の基準(旅館業法3条2項、同施行令1条1項ないし4項)などがある。

<民泊は、賃貸業か旅館業か>

民泊とは、「住宅を活用した宿泊の提供」「住宅(戸建て住宅及び共同住宅)を活用した宿泊サービスの提供」のことだから、「宿泊サービス」を要素としている。
実態としても、基本的な安全、衛生の責任を負うのは民泊業者であり、生活の本拠とするための営業が議論の対象とされているわけでもない。

したがって、民泊は、不動産の賃貸借ではなく、宿泊サービスを提供する旅館業。

許可を得ない民泊は、原則として違法。

<例外:旅館業法の許可を得ずに営業できるもの>
(ア)(国家戦略特別区域法による外国人滞在施設経営事業)
同事業に該当すれば、旅館業法の適用除外となる(同法13条4項)
※ 国家戦略特別区域法で外国人の滞在に適した宿泊施設の提供の対象区域とされているは、東京都、神奈川県、千葉県成田市、大阪府、兵庫県、及び京都府の六か所

 事業を行おうとする者は、都道府県知事(又は市長、区長)の認定を受けることが必要。
 施設を使用させる期間は、7日から10日の範囲で都道府県条例(特別区は区条例)で定める期間以上(国家戦略特別区域法施行令12条)

(大田区)
・平成28年1月29日に条例施行
・施設の使用期間は7日以上。他に立ち入り調査等、事業計画の近隣住民への周知を定めている。
・平成28年1月26日にガイドラインが出されている。
・平成28年5月27日現在、認定施設は15

(大阪府(大阪府全域))
・平成28年4月1日に条例施行
・施設の使用期間は7日以上。立ち入り調査についての定めがある。
・平成28年5月に審査基準等に関するガイドラインが出されている。
・平成28年6月1日現在、認定施設は1
(イ)(イベント民泊)
年1回(2日〜3日程度)のイベント開催時に、宿泊施設不足が見込まれることにより自治体の要請等により自宅を提供するような公共性の高いもの
旅館業法の適用なし。反復継続性がなく業に当たらないと判断されるため、旅館業に該当しない。
(2)民泊に対する旅館業法以外の規制法律

(建築基準法における用途地域規制との関係)
建物所在地域で旅館業の立地が禁止されている場合がある。(建築基準法49条以下)

・ホテル・旅館を建築してはならない用途地域
 第二種中高層住居専用地域、工業地域、工業専用地域、
 第一種住居地域(ホテル・旅館として使う床面積が3,000uを超える場合)

・建築することができる建築物としてホテル・旅館が含まれない用途地域
 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域

(建築基準法、消防法)
防火・避難、火災の予防、被害の軽減に関しホテル・旅館に要求される設備基準が定められている。

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2、法制度化に向けた検討状況 ≫

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