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第二次納税義務と社会保険料

1、国税が滞納されている場合

1、国税が滞納されている場合、当該納税者のみならず一定の関係者にも納税義務が生じる場合があります(第二次納税義務・国税徴収法32条以下)。
事業再生との関係では、特に、(1)事業を譲り受けた特殊関係者の第二次納税義務(同法38条)、(2)無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務(同法39条)が重要です。

(1)は、納税者が生計を同じくする親族等納税者と特殊な関係のある個人又は被支配会社に事業を譲渡し、その譲受人が同一又は類似の事業を営んでいる場合、納税者への滞納処分では徴収額が足りないときは、その譲受人は、譲受財産の価額を限度として、税の納税義務を負わされるものです(事業譲渡が滞納国税の法定納期限より一年以上前にされている場合は除く)。

(2)は、滞納処分によっても徴収額が不足する場合、その不足の原因が、法定納期限の一年前の日以後に、滞納者が無償又は著しく低い額で財産を譲渡したり、債務の免除等をしたことにある、と認められるとき、譲渡や免除等の相手方が、譲渡や免除で得た利益を限度として、税の納税義務を負わされるというものです。

地方税法にも、(1)(2)と同様の規定があります(同法11条の7、11条の8)。

窮境に陥った会社等は税の滞納が生じていることが多いため、事業を譲渡して事業再生を図ろうとする場合、この第二次納税義務にも注意を払わなければなりません。

2、社会保険料には第二次納税義務があるでしょうか

2、それでは、社会保険料(厚生年金、健康保険、雇用保険、労災保険)には第二次納税義務があるでしょうか。

これらにも第二次納税義務はあります。  なぜなら、これらについても各法律に「国税徴収の例により徴収する」という規定があり、第二次納税義務についての上記国税徴収法が準用されるからです。

(厚生年金保険料)

 会社等の事業主は、保険料の半額を負担するところ(厚生年金保険法82条)これを滞納した場合は、「国税徴収の例により徴収する」という規定(同法89条)によって、第二次納税義務が生じます。

(健康保険料)

 会社等の事業主は、保険料の半額を負担するところ(健康保険法161条)、 「国税徴収の例により徴収する」という規定(同法183条)によって、第二次納税義務が生じます。

※ ただし、健康保険の中でも国民健康保険料には会社等の事業主の負担部分がありませんから、事業再生の場面で事業譲受人が第二次納税義務を負担するかは問題になりません。 

(雇用保険料・労災保険料)

 雇用保険法、労働者災害補償保険法には、厚生年金保険法89条や、健康保険法183条のような規定はありません。しかし、労働保険料の徴収に関する法律30条にこれらと同様の規定があり、この30条の「労働保険」には、雇用保険料と労災保険料の両方が含まれます(同法2条)。そのため雇用保険料と労災保険料についても、第2次納税義務が生じます。

 したがって、事業譲渡によって事業再生を図ろうとする場合、社会保険料についても第二次納税義務に注意を払わなければなりません。

以 上

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